こんにちは、最近DRIPが気になって仕方がないザリガニです。
今回の記事のテーマは、「配当金再投資法において、年間の配当回数は運用成績にどれだけ影響を及ぼすのか?」です。
運用資金の出どころですが、私は主に毎月のサラリーマン給与と米国株式・ETFの配当金から捻出するようにしています。
また、昨今のサクソバンク証券のニュースをもとに、DRIPを行いたいなと考えているところです。
DRIPには以下の様なメリットがあります。
- 配当再投資が自動で行われる。
- 端数株も割り当てられる(証券会社によって取り扱いは異なります。サクソバンク証券は端数株は非対応とのことです)
- DRIPによる手数料はかからない
(こちらの記事にDRIP関連のメリット詳細をまとめています。)
そんなことを考えている中で、疑問が湧きました。
という点です。
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具体的に言うと、複利的に資産を増やしていく場合、年1回の配当よりも、年4回とか、極端に言えば年12回(PFFみたいな例ですね)の配当銘柄でDRIPを行った方が、複利効果が高まるのではないか?と思ったんです。
年1回48,000円の配当より年12回4,000円(×12=48,000円)の配当の方が、再投資効果が大きくなるのではないか?というイメージです。
ということで、検証してみることにしました。
検討テーマ:「配当金再投資法において、年間の配当回数は運用成績にどれだけ影響を及ぼすのか?」
ちなみに、先に結論を出すと、
結論:
- 20~30年の長期投資を考えた場合であっても、年1回と年12回配当の違いから生じる配当金再投資の複利効果の差は無視できる程度(10,000円未満)であり、将来の年間配当受領額はほぼ同じである。配当回数の影響はない。短期投資でも同じ。
- 再配当投資においては源泉徴収税の影響が圧倒的に大きいので、この税金部分を軽減する取り組みが大事である。
と結論づけました。
検討したシナリオ・前提、結果、考察・結論を以下に示します。
それでは、どうぞ。
もくじ
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シナリオ
今回検討するのは、以下のテーマです(再掲)。
検討テーマ:「配当金再投資法において、年間の配当回数は運用成績にどれだけ影響を及ぼすのか?」
この問いに回答する上で、以下の様なシナリオを設定しました。
- 初期投資として、100万円分の株を保有している。
- 株価・配当利回りは検討期間で一定とする。
- 年間の配当回数は、年1回、年2回、年4回、年12回の4つのシナリオで検討する。
- 年間の配当利回りは4.8%とする。
- 配当再投資における税金や手数料は考慮しない。
- 検討期間は30年間、計360ヵ月分を計算した。
- 追加入金はせず、単純に配当金のみを再投資した場合の、年間配当額の推移を調べる。
- サブシナリオとして、
- 配当金の受領月の影響はあるか?
- 配当金源泉徴収10%、20%、30%の場合も計算する。
以下に設定した前提の背景を補足します。
初期投資額および株価の設定
初期投資額は100万円としました。特に理由はありません。
また、株価と配当利回りは検討の期間で一定と仮定しました。この仮定は非現実的なものではありますが、今回の検討テーマを考える上で、株価を固定して考えることとしました。
配当回数について
米国株だと、年4回(各4半期ごと)の配当が多いです。日本株だと、年2回が多いですね。さらにPFFのようなETFだと毎月分配金が支払われます。
配当回数がどれほどパフォーマンスに影響を及ぼすか調べたかったので、年1回、年2回、年4回、年12回の4つのシナリオで検討することとしました。
また、配当金が入金されるタイミングは、以下の様に設定しました。

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年間配当利回りについて
高配当株をイメージして、4.8%という数字を使いました。
また、上記シナリオにおける年間配当回数の1、2、4、12で割り切れるキリの良い数字という意味もあります。
税金や手数料
計算を簡略化するために、ゼロで計算しました。
なお、サブシナリオとして、配当金の源泉徴収が10%、20%、30%の場合も計算しています。
検討する期間について
複利効果を確認するのには、長期間の投資効果をみることが大切です。
私自身が現在32歳です。20年後で52歳、30年後で62歳なので、最低20年、最大30年間の数字を検討すれば十分だと考え、とりあえず30年分、計360ヵ月分を計算することにしました。
追加入金はしない
配当再投資に対する配当回数の効果を調べるのが今回の目的なので、30年という期間で追加入金は行いません。配当金のみ再投資します。
サブシナリオについて
サブシナリオとして、
- 配当受領月の影響
- 配当はできるだけ早く受け取った方がよいのか、遅く受け取った方が良いのか?年1回や2回の配当の場合、早く受け取っておいて再投資に回した方が運用成績は上がるのではないか?
- 配当金が源泉徴収10%、20%、30%の場合の影響は?
の2つについても検討しました。
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結果
ということで、結果です。
100万円分の株、配当利回りを4.8%、配当金のみを再投資して30年間運用したときの結果です。
年間の配当回数を、年1、2、4、12回の4つパターンで集計しました。

若干ではありますが、年間の配当回数が多いほど、配当額は経時的に大きくなっていきます。とはいえ、20~30年という期間でみても、そんなに差はありませんでした。
差が一番大きくなった、年1回配当と年12回配当運用したときの配当金額を比較すると、以下の通りでした。
- 20年目の配当額:それぞれ約117,000円(年1回)と122,000円(年12回)(約5,000円の差)
- 30年目の配当額:それぞれ約187,000円(年1回)と197,000円(年12回)(約10,000円の差)
年2回配当と年4回配当は、上記年1回配当と年12回配当の間の値をとります。ほとんど差は生まれませんでした。
この差は、私のザリガニ自身の感覚としては、それほど大きなインパクトはない、許容できる程度差だと思いました。20年とか30年のスパンでの差ですからね。
上記のグラフを見てみても、ほぼ同程度、といっても良いんじゃないかなあと思います。
試算の結果表も合わせて示します。5年ごとの結果です。
100万円を配当利回り4.8%で再投資運用したときの年間の配当金受領額(年間の配当受領回数ごと)
サブシナリオ結果
また、サブシナリオとして、以下の2つのことを検討しました。
サブシナリオ 結果①:配当金の受領月の影響
メインシナリオでは、配当金が入金されるタイミングは、以下の様に設定しました。

一方で、年1回や年2回の配当の場合、配当を受ける時期によっても運用成績に影響が及ぶのでは無いかと考えました。
なので、配当金受領月について、こんなサブシナリオでも試算してみました。配当受領が一番遅くなるパターンですね。

結果を言うと、メインシナリオでもこのシナリオでも結果は同一でした。
配当を入金直後に再投資したうえで、年間あたりの配当金額を求めているのですから、同一になりますね。
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サブシナリオ 結果②:源泉徴収される税金の影響
メインシナリオでは、税金の影響はないものとして扱いました。
とはいえ、実際問題として現実では20~30%程度の税金が掛かってきます。
なので、源泉徴収10%、20%、30%の場合でも同様に検討してみました。

配当回数の影響は無視できますが、源泉徴収が及ぼす運用成績への下振れ威力が明らかです。
以下に、年4回配当時の運用成績(年間配当額)について源泉徴収率別に示します。運用10年を超えるあたりから、源泉徴収率の違いに伴って年間の配当額の差がどんどん広がっていくのが分かります。
上の表だけだと把握しづらいので、相対比でも表を作りました(下表)。
20年目においては、源泉徴収なしと比較して、源泉10%では配当額が18%減、源泉20%では33%減、源泉30%では47%減となります。
同様に30年目においては、源泉10%で22%減、源泉20%で39%減、源泉30%で54%減となります。インパクトが大きいですね。
源泉徴収なしの配当額を100とした場合の配当額の相対比(源泉徴収率別)
考察・結論
今回の記事では、「配当金再投資法において、年間の配当回数は運用成績にどれだけ影響を及ぼすのか?」をテーマに検討を行いました。
実際に試算してみたところ、「年間の配当回数が多いほど、運用成績はわずかながら改善する」という結果でした。
しかしながら、配当回数の違いによって生じる運用成績の差は非常に軽微でした。したがって、「20~30年の長期投資を考えた場合であっても、年1回と年12回の配当で生じる配当金再投資の複利効果の差は無視できる程度である。」と結論づけることとしました。
今回の検討から得られた知見は以下の通りです。
- 配当再投資をする場合、年間の配当回数は将来の運用成績に影響しない。
- 年間あたりの配当額で考えた場合、配当月のタイミングも影響しない。
- したがって、配当再投資のアプローチにおいて、年間の配当回数や配当月を気に掛ける必要はない。
- 一方で、源泉徴収税10%~30%の影響はとても大きい。源泉徴収額を減らすためのアクションはとても意義がある
配当再投資のアプローチにおいては、源泉徴収や配当利回り、増配率、買付・再投資に伴う手数料などにフォーカスを当てた方が良いということになりそうです。
源泉徴収対策には、NISA口座を使ったり、外国税額控除を活用するなどの手当てが必要ですね。
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終わりに
以上のように、今回は年間配当回数の影響を調べてみました。
再投資を考えた場合、「年1~2回の配当よりも、年4回や年12回の配当の方が複利効果が上がるのではないか?本当はどうなの?」とずっともやもやしていたんですよね。
結果として、「配当を再投資するにあたり、年間の配当受領回数は将来の配当受領額に影響しない。」というのがザリガニの結論です。この結果から、資産運用上、配当回数は気にしないことに決めました。
これだと、年2回配当の外国株や、日本株(銘柄をしっかり選べば)でも選択肢として出てきますね。
とはいえ、米国株は年4回配当を行う企業が多く、配当を定期的に受け取れる楽しみがあります。日本株だと年2回が多く、待ちくたびれるというか忘れた頃にやってくるくらいのイメージなんですよね。
年4回配当銘柄が多いという点が、私にとっての米国株投資の魅力でもありました。
こちらの記事で紹介した「しあわせの原則 その2」でも、以下の記載があります。私個人的には、少額であっても配当を定期的にちょびちょび受け取る方が性に合っています。
金額などの他の条件がすべて同じなら、ほとんどの人が、少ない回数の大きな喜びより、ささやかでも回数が多い喜びの方を好むのです。
たとえば、人々は1日に25ドルもらうよりは、5日間毎日5ドルもらう方を好みます。90分のマッサージを1回受けるよりは30分間のマッサージを3回受ける方がより大きな幸福をもたらしてくれるのです。
引用元:「幸せをお金で買う」5つの授業

「毎月配当金が得られるマイポートフォリオ」を作る上でも、米国株中心に銘柄を組むとやりやすいです。(関連記事>>【米国株】毎月配当金が入金されるポートフォリオを作る話)
今後は配当利回り、増配率、買付および再投資に伴う手数料、税金についてフォーカスを当てた方が良さそうですね。
日々是勉強です。それでは、また。
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関連記事です。
配当再投資法の一種であるDRIPについてまとめた記事です。配当を現金でなく株式で受け取り、自動で再投資される仕組みです。

長期投資における複利の力は大きいです。以下の3つの記事にまとめました。